研究課題/領域番号 |
15K02842
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
榎本 淳一 大正大学, 文学部, 教授 (80245646)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 漢籍 / 図書目録 / 写本 / 日本国見在書目録 / 隋書経籍志 / 旧唐書経籍志 / 新唐書芸文志 / 晋書零巻 |
研究実績の概要 |
1.研究会の開催 ①2017年2月25日(土)15~18時、大正大学で開催し、江川式部氏に「唐代礼書の系譜」というテーマで講演して頂き、その後参加者による質疑応答・議論を行い、漢籍研究の最新成果を共有することができた。 2.漢籍写本の調査 ①国会図書館所蔵の北平図書館本『唐会要』のマイクロフィルムを調査し、修撰関係記事の確認を行った。現行本の武英殿聚珍版本の誤脱を修正しうることを確認した。②先年行った九州国立博物館蔵「晋書零巻」の史料調査の不備を補うため、画像データ交付を申請し、受領した画像データで史料調査を再実施した。 3.招待講演 ①2016年10月12日(水)開催の学内学術研究発表会(大正大学)において、「比較の視点」という演題で、当研究で行っている宮廷目録の比較研究の概要と意義について講演した。②2017年1月28日(土)に開催された鞠智城2016東京シンポジウム(熊本県主催、於明治大学アカデミーコモン(東京都千代田区))において、「東アジア世界の変貌と鞠智城」という題で、漢籍伝来の背景としても重要な9世紀前後の国際環境について講演した。 4.研究成果の取りまとめ ①古代日本における異文化接触に関して、文字(書籍)文化も含め、コミュニケーションのあり方について論じる研究を行った(論文入稿済み)。②漢籍の表現が日本の史書の記載に取り入れられた際の、言葉と意味のズレの問題を、「奴婢」と「やつこ」を具体例として論じる研究を行った(論文入稿済み)。③現存最古の漢籍目録である『日本国見在書目録』の成立時期とその性格を論じるにあたり、重出書の問題について検討する研究を行った(刊行済み)。④九州国立博物館蔵「晋書零巻」と標点本の違いについて検討する研究を継続中である。⑤鞠智城を視点にして、9世紀前後の国際環境の変化とその意義を明らかにする研究を行った(発表済み)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
家族介護の必要が急に出来し、研究時間を削減しなければならない状況が続いた。また、遠方地への調査出張が行えない期間が長くなってしまった。 しかし、自宅でできる作業・研究を集中的に行うことで、予定よりも研究が進んだ部分もあった。
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今後の研究の推進方策 |
1.研究会の開催回数の増加により、最新の漢籍研究の成果をより積極的に取り入れる。 2.漢籍の写本調査としては、新たに真福寺など名古屋近辺の所蔵機関を加え、唐鈔本・旧鈔本の調査を充実させる。 3.陸善経など特徴的な撰者を取り上げ、漢籍伝来の具体相を検討する。 4.『日本国見在書目録』の書目としての性質を明らかにするため、書籍情報の特徴を再検討する。 5.社会への成果還元のため、依頼講演にはできるだけ応じるようにしたい。
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