本研究においては、日本古代貨幣が単なる国家的支払手段でも無く、又単なる交換手段でも無く、交換手段たる支払手段であったことを明らかにし、古代貨幣論の構築に貢献した。また古代貨幣の交換手段としての性格が喪われることが,日本古代貨幣制度が崩壊そのものを意味することを明らかにしようとしたものである。平安時代の崩壊過程については、まだ多くの分析が必要である段階ではあるが、本研究で明らかにした関市令官与私交関条、同除官市買条に関する新解釈の提示は、估価制度の理解に根本的な修成を迫るものであり中世貨幣史にも大きな影響を与えることになろう。
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