本研究では次の通り、史料学的研究をおこなった。 『年中行事抄』は摂関家行事に詳しい年中行事書であり、今後の研究に資するため本文校訂をおこなった。一大叢書である『滋草拾露』については、所蔵機関ごとの伝来状況を一覧表に整理した。以上は、今後の歴史研究にとっての環境整備である。 宮廷女性の裳唐衣装束の意味を追究して、文学作品の叙述を検証し、平安時代の政治文化について論考にまとめた。江戸時代の歴代即位式に関する絵画を文献記事と照合し、即位式を巡る社会状況を論じた。以上は、文学作品や絵画に裾野を広げた史料学的研究であると同時に、歴史研究としてより実践的な成果である。
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