最終年度となった平成29年度は、1.収集資料のデータ化、2.研究成果の口頭発表・原稿作成、の2点を中心に作業を進めた。収集資料に関しては初年度(平成27年度)より継続的に全国各地の図書館・博物館などで関係文書・専門図書の閲覧をおこない、17世紀から19世紀における日本列島の屎尿肥料の活用、さらに使用肥料の実態などについて詳しくデータを確認することができた。また、今年度は研究の総括的な意味を含め、本研究課題で得た知識や学術的蓄積をもとに、口頭発表をおこない、日本語報告のほかに英語報告も含めて国内外への成果発信に努めている。 3年間の期間全体において展開した資料調査、研究分析、そして成果発表は多くの学術的蓄積を得ている。調査では全国各地の資料所蔵機関や図書館で詳細な情報を入手することができ、これまでの大都市圏中心の研究状況を大きく転換できる契機となった。それに応じて考察をおこなう際に活用する資料の多様性、さらには地域の広がりも質の高い研究を生み出す原動力になっている。3年間の研究発表(口頭報告)は10本に及び、日本近世史・近代史を中心とした歴史学会系統のみならず、経済史や地域研究など他分野の専門家と議論ができたことに大きな意義を感じた。そして平成27年度および29年度には海外の大学で研究成果を披露する機会に恵まれ、そのうち2本は英語による発表をおこなった。日本語の発表では海外の日本史研究者との接点を持ち、英語発表では日本史以外のアジア史研究者、環境問題や農業開発の専門家などと情報を共有し、日本の当該研究がさまざまな分野で活用され、さらに発展が期待されていることをよく理解することができた。
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