本研究は、維新政権期における明治太政官文書を研究の対象とし、(1)国立公文書館と東京大学史料編纂所に分割所蔵されている維新政権期明治太政官文書原本群と、(2)各地に現存する旧藩大名家文書から抽出した明治太政官関係文書を素材に、文書群としての生成・蓄積過程とその構造の復元・分析、及び文書群としての伝来経緯の解明を目的としている。 (1)に関する研究実績は以下の通りである。①研究協力者の助力を得て、東京大学史料編纂所所蔵「復古記原史料」の整理未着手部分の整理・目録データ作成及びその分析を進めた。本年度は1347件の目録データ作成が完了した。この結果、2015年度から2018年度までの4年間で、合計7071件の目録データ作成を完了させることができた。この目録データは史料編纂所の「所蔵史料目録データベース」から順次公開されている。②国立公文書館及び他機関所蔵の維新政府関係文書についても、引き続き調査・研究を進め、その成果の一部を学会等で発表した。 また、(2)に関しては、彦根城博物館所蔵彦根藩井伊家文書、甲賀市教育委員会所蔵水口藩加藤家文書、金沢市立玉川図書館近世史料館所蔵加賀藩前田家文書、鳥取県立博物館所蔵鳥取藩池田家文書について、継続・補充調査とその分析を行なった。 そして、2018年度は本研究の最終年度となるので、これまでの研究成果を取りまとめ、研究成果報告会「維新政権期明治太政官文書研究の現状と課題」を開催し、研究代表者・研究協力者による成果発表を行なった。報告の内容は、箱石大「維新政権期明治太政官文書の史料学的研究―研究成果の概要―」、石田七奈子「ウワ書・端書にみる明治太政官文書の管理」、白石烈「京都御所東山御文庫別置御物と明治太政官文書」、宮間純一「「三條実美公年譜」アーカイブズの構造分析」、である。
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