本研究は明清交替の情報分析を通じて、大陸からの諸情報が日本に流通していくメカニズムを解明し、その上で幕府による情報の受容と活用を史料から読み解き、東アジア社会と日本との関係理解を見直すことを目的とする。当該期の大陸情報は、対馬、長崎、琉球から入ったが、朝鮮-対馬経由の北ルートの情報分析は、南ルート(長崎、琉球)に比べ著しく立ち後れていた。ゆえにまず、朝鮮-対馬経由「唐兵乱」関係記録の収集とその伝達構造分析を行った。次に大陸情報の質の分析と流通、幕府の情報受容と活用、を課題とし、導き出された成果をふまえて、当該期の東アジア情勢に対する日本の対外政策の展開を情報との関係で動態的に読み解いた。
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