研究課題/領域番号 |
15K02870
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
戸邉 秀明 東京経済大学, 経済学部, 准教授 (90366998)
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研究分担者 |
高橋 順子 日本女子大学, 人間社会学部, 研究員 (90555434)
上地 聡子 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, 研究助手 (40580171)
高江洲 昌哉 神奈川大学, 外国語学部, 非常勤講師 (10449366)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 沖縄戦後史 / 琉球政府 / 政治社会史 |
研究実績の概要 |
戸邉秀明は、琉球政府下の中央教育委員会の文書(議事録・関係文書)、および労働行政(特に集団就職関係)の文書の史料調査を、主に沖縄県公文書館にて実施した(28年9月、29年3月)。また成果の一部を、唯物論研究協会研究大会(28年10月)で発表した。 高橋順子は、現地調査(28年4月)において、沖縄戦後政治史に関わる人物数名への聞き取り調査と史料調査を実施した。また沖縄で研究報告会(「占領初期沖縄におけるチャイナ部隊:屋慶名・石嶺・伊江島・佐敷」28年7月16日、沖縄国際大学)を主催し、研究成果の地域還元に努め、沖縄県内の自治体史編纂機関や学校教育の関係者などと連携する機会を作った。 高江洲昌哉は、現地調査(28年11月)を通じて、高江洲が以前、『南風原町議会史』で関係した南風原町の町会議員(元職含む)数名に対して、選挙政治と琉球政府・県庁との関係について聞き取りを実施した。成果の一部は、韓国・済州島での国際ワークショップにおいて「沖縄の歴史経験と民主主義の政治文化」と題して発表した(29年2月)。 上地聡子は、収集した『ハワイタイムス』の紙面分析を継続したほか、アメリカ国立公文書記録管理局新館にて、日系二世兵士関係の文書群の調査収集を実施した(29年2月)。 また28年度は当初計画にしたがい、関連する研究に従事する沖縄在住の若手研究者を招聘して研究会を実施し、本研究課題の可能性について、より深く検討する機会を得た。28年8月には秋山道宏氏により、沖縄返還前後における琉球政府の対米軍・基地所在自治体との折衝過程や開発政策への取り組みに関する報告をいただいた上で、コメントと討論を行った。29年3月には、土井智義氏により、琉球政府の出入国管理政策の推移に関して報告をいただき、米軍政府や日本政府との交渉過程の実態など、今後の検討課題について議論を深めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
聞き取り調査と史料収集、および沖縄在住研究者との研究交流、研究成果の発表については当初予定にしたがい、ほぼ順調に進めているが、収集した聞き取り記録・史料が予想以上に多かったため、それらの精査に時間がかかっており、最終年度の分析・発表に向けた基礎的な分析が遅れている。その背景として、史料の打ち込みなどを当初依頼する予定だった研究協力者が都合により辞退されるなど、人員の確保ができなかったことも大きい。最終年度では、この点を早急に改善して分析を進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度のため、これまで収集した聞き取りおよび史料を精査して研究成果公表の準備を進める。具体的には学会での研究発表報告や研究論文の執筆および学会誌への投稿を予定している。また年度末の沖縄での研究発表会についても検討中である。 これらの作業を具体的に進める中で、補足的・追加的な調査が必要となるため、引き続き関係機関等での調査も実施する(29年夏季)。
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次年度使用額が生じた理由 |
実施した聞き取りの反訳(テープ起こし)に関する業者への発注依頼が滞ったこと、およびデータ入力等に関する人員が当初予定の通りに確保できなかったため、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度は、最終年度であるため、速やかに発注依頼及びデータ入力の人員を確保して作業を効率的に進める。
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