研究課題/領域番号 |
15K02879
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
大谷 渡 関西大学, 文学部, 教授 (80340644)
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研究分担者 |
橋寺 知子 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (70257905)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 日本・台湾・北欧関係史 / 戦後日本の青春群像 / 北欧自由キリスト教宣教団 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、これまでの研究調査で得た資料に十分な検討を加えるとともに、年度当初から年内脱稿と出版社への入稿をめざして研究成果著書の執筆を開始した。6月には、研究分担者とともに、台湾を経て日本各地に入った北欧自由キリスト教宣教団の宣教師たちを派遣した母教会と彼らの故郷をノルウェー・デンマーク・フィンランドに訪ね、実地調査と資料収集を行うとともに、日本伝道に従事した元宣教師に直接取材を実施し、大きな成果を得ることができた。 国内では、愛知県各地(瀬戸市・尾張旭市・名古屋市)と北海道北広島市および福井県各地(福井市・坂井市・越前市)等において資料収集を行い、研究成果著書の執筆を充実させた。その結果、12月上旬に脱稿が可能となり、同月中旬に出版社へ入稿し翌1月下旬に初校があがるという年度当初の計画を達成することができた。 一方、11月中に、翌年(平成30)6月にノルウェーのノートオッデンにおいて国際シンポジウムを開催し、研究成果の発表を行うことを決定してその準備を並行して進めた。年明けには、国内においても研究成果発表のためのシンポジウムの開催準備を開始した。ノルウェーでの国際シンポジウムは6月22日、国内では5月5日に越前市文化センターにおいてシンポジウムを開催することになった。いずれも、研究分担者とともに、これまでの研究成果の発表を行うことになっており、入念な打ち合わせを行っている。 なお、平成29年11月に、研究代表者の日本と台湾に関する文化史社会史研究の成果著書『台湾と日本――激動の時代を生きた人びと』が、台湾の出版社遠足文化から『太陽旗下的青春物語――活在日本時代的台湾人』として翻訳出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題の初年度、平成27年度中に研究成果著書『台湾の戦後日本――敗戦を越えて生きた人びと』(東方出版刊)を出版することができた。その実地調査と資料収集の過程において新たに浮かびあがった発展的課題、すなわち国共内戦を逃れて中国から台湾に渡った北欧の宣教師と、戦中に日本教育を受けた台湾の若者との交流、戦後復興期の日本で開拓伝道に従事した北欧の宣教師と日本に留学した台湾の若者及び日本の若者たちとの交流の史実を解明する課題が浮び上がった。従来まったく知られていないこの史実を明らかにする課題に取り組み、北欧自由キリスト教宣教団の日本における開拓伝道の道程と、若き北欧の宣教師たちと、台湾及び日本の若者たちとの出会いと精神交流の史実を戦後日本の青春群像として明らかにし、研究成果著書『北欧から来た宣教師――戦後日本と自由キリスト教会』(東方出版刊)を出版した。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果著書『北欧から来た宣教師――戦後日本と自由キリスト教会』(東方出版刊)を出版したので、これを機に日本と北欧においてシンポジウムを開催する。国内では平成30年5月5日に福井県の越前市文化センターにおいてシンポジウム「北欧から来た宣教師と福井の人々-心の交流67年-」を、6月22日にはノルウェーのノートオッデンにおいて国際シンポジウム「ノルウェーペンテコステ教会の日本伝道」を開催し、研究代表者は基調講演を行い分担者は研究講演を行う。合わせてノルウェーの元日本伝道宣教師を交えてのパネルディスカッションや宣教本部の研究者との対談を行う。ノルウェーにおける国際シンポジウムの開催のあと、北欧での追加調査を実施し、年度内に本研究課題の成果についての総括を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果発表のための国外でのシンポジウムは、平成29年度中に台湾で開催する予定であったが、研究が大きく進展したことにより、国外でのシンポジウムの開催地が北欧となり、外国機関との調整の結果、平成30年6月22日にノルウェーのノートオッデンにおいて開催することとなった。これにより、補助事業期間の延長が必要となり、次年度使用額が生じた。
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