最終年度には、戦後中国大陸から台湾に渡り、1950年前後に台湾社会で宣教を行い、1950年前半に日本に移動し開拓伝道に従事した「北欧自由キリスト教宣教団」の宣教師たちと台湾人および日本人との交流の史実を追究した研究成果『北欧から来た宣教師』(東方出版刊、2018年)を出版した。また、研究成果発信を目的として、国内ではシンポジウム「北欧から来た宣教師と福井の人々」を2018年5月5日に越前市文化センター小ホールにおいて開催し、国外では6月22日に国際シンポジウム「Japan Mission of Pentecostal Church of Norway」をノルウェーノートオッデンにおいて開催した。いずれも、研究者と一般市民が多数参加し、盛況であった。『日本近現代史研究』第6号(2019年4月)は、ノルウェーでの国際シンポジウム特集とし、研究代表者と分担者の研究成果論文を掲載した。2019年4月には、研究成果『台湾の戦後日本――敗戦を越えて生きた人びと』(東方出版刊、2015年)が翻訳され、『聆聽時代的變奏――跨越兩個時代的臺灣人』(遠足文化刊)として台湾で出版された。 研究期間全体では、『台湾の戦後日本――敗戦を越えて生きた人びと』を出版し、同書出版記念のかたちの国際シンポジウムを関西大学において開催した。この国際シンポジウムには、孫傅秀松(元台湾総督府海外派遣篤志看護助手、元中華婦聯総会婦聯一村工作隊長)を台湾から招き、研究代表者の基調講演、孫傅秀松の特別講演と研究分担者の研究報告、及び三人によるパネルディスカッションを行った。2016年5月には、戦中から戦後にかけて台湾に育ち、「北欧自由キリスト教宣教団」の女性宣教師ハーゲンとともに暮らした許麗娟を招き、シンポジウム「Miss.ハーゲンと瀬戸」を瀬戸市文化センターにおいて開催し、研究成果発信を行った。
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