1970年代半ばにポルトガルから相次いで独立したアフリカ諸国を「ポルトガル語公用語アフリカ諸国(PALOP)」と呼ぶ。本研究では、ポルトガル植民地支配末期にPALOP各国で刊行された農業センサスの記載情報を収集し、他の史料から得られる情報も比較検討することにより、植民地支配期のPALOPにおける主食用作物の栽培状況と、その歴史的背景について、特に新世界産主食用作物を中心に解明することを目的とした。2016年度にポルトガル国リスボン市の資料情報センターにおいて、『ポルトガル領ギニア農業センサス』『カーボヴェルデ農業センサス』『サントメ・プリンシペ農業センサス 』の所蔵調査を行ったものの、開館時間の大幅な短縮のために作業を完了することができなかった。そのため2017年度も資料情報センターで追加の調査を実施し、作業を完了した。本研究課題の成果公開として、これまでに入手したPALOP農業センサスの分析結果を基にして、2017年5月20日に信州大学教育学部で開催された日本アフリカ学会第54回学術大会において「ポルトガル植民地期PALOPにおける南米原産作物栽培:アンゴラとモザンビークを中心に」と題して口頭発表を行った。またポルトガル植民地支配末期におけるPALOP各地域の主食用作物栽培の状況に関する論考、および本研究課題の主要史料であるPALOP農業センサスに関する史料研究論考をまとめ、投稿する準備を進めている。
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