研究課題/領域番号 |
15K02889
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
蓮田 隆志 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (20512247)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ベトナム / 近世 |
研究実績の概要 |
本課題は、ゲアン地方(現ゲアン省・ハティン省)に本拠を置いた氏族(ゾンホ)の子孫を訪ね、所有文献を収集し、これを分析することで近世期ベトナムにおけるゲアン地方および地方氏族の役割を解明しようとするものである。 本年度前半は手持ちの文献史料の分析を行ったが、特に対日交渉記録の分析を行った。その検討結果は3つの国際シンポジウム(ベトナム国家大学ハノイ校(8月)、ベトナム国家大学ホーチミン市校(3月)、米国アジア学会(3月))で報告した。この他、隣接するタインホア省の氏族関係史料を用いて、16世紀に活動した功臣を扱った論考「范篤攷:16世紀ベトナムの新興勢力と中興功臣」を発表した。 9月には約10日間の調査をゲアン省にて行った。調査では地域史に詳しいゲアン省図書館のTran Manh Cuong氏の協力を得た。Nguyen Canh族は16・17世紀に重要な役割を果たした氏族だが、今回の調査では省内に居住する子孫の方々のうち8箇所を訪ねたほか、関係する史跡を訪ね、支配者である鄭氏からNguyen Canh氏に降嫁した女性の名が刻まれた碑文の収集にも成功した。子孫宅での調査では、辞令や遺言状などの文書類が残存しておらず、家譜のみの収集に留まった。家譜自体は多数収集できたものの、その内容は概ね似通っているため、細かな差異は移住や族の文節化を検討するための材料として重要だと評価できる。これらの成果は次年度以降に論文に反映する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
史料調査を無事遂行することができ、新規史料の収集にも成功した。また、既存史料の分析については、近世日越外交についての新知見を国際学会で報告し、おおむね賛同を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
28年度はハティン省での調査を行う。現在の研究方針で成果が着実に上がっていることから、本年度も同様の方針で課題に取り組む。昨年度の学会報告については、論文として投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の調査にて、ベトナムの物価上昇が想像以上に激しく、次年度以降にも調査費用がさらに高騰すると予想されることが判明した。次年度はさらにハノイから遠いハティン省で調査を行うため、費用の高騰に対処すべく、本年度使用予定額の一部を次年度に繰り越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
H28年度中のベトナム調査に充てる(秋の予定)。
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