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2015 年度 実施状況報告書

3~4世紀中国長江・湘江流域における地域社会・地方統治の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K02891
研究機関金沢大学

研究代表者

安部 聡一郎  金沢大学, 歴史言語文化学系, 准教授 (10345647)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード中国史 / 魏晋南北朝史 / 出土資料
研究実績の概要

本研究は、中国・湖南省長沙市で出土した走馬楼呉簡を中心とする後漢末・魏晋時代(A.D.3c-4c)の出土簡牘(かんとく)(魏晋期簡牘と略称。なお中国史では竹簡・木簡等を総称して簡牘と呼ぶ)の実見調査、および地誌・地方志史料と現地調査による地理環境の復元に基づく総合的分析によって、後漢末~魏晋時代の長江・湘江流域の地方政治・社会の動静を明らかにすることを目的とする。その基幹は、1.魏晋期簡牘と歴史地理資料の集成と分析、それを基礎とした2.実地実見調査にある。
本年度は第一年度として、1.の史料集成・分析を中心に研究を展開させた。安部聡一郎「典田掾・勧農掾の職掌と郷―長沙呉簡中所見「戸品出銭」簡よりみる」(關尾史郎ほか編『湖南出土簡牘とその社会』、汲古書院、pp.117-142、2015年3月)で行った「戸品出錢」簡および郷に関する史料の集成と分析に訂補を加え中国語訳したものを、中国学術誌に公刊したのはその成果の一端である(安部聡一郎「典田掾、勸農掾的職掌與郷─對長沙呉簡中所見“戸品出錢"簡的分析」、『簡帛研究』二〇一五秋冬巻、pp.238-256、2015年10月)。また2.現地実見調査に関わる点では、現地状況については広域調査で確認されただけで正式の報告書がなく、加えて近年急激に進む開発・再開発のため破壊が進み、公開の情報だけではその正確な位置・状況を判別するのが困難であることが判明した。この点からより本格的な現地調査を実施するため、科学研究費・国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)に申請し交付内定を受けた。
本年度の成果は、郷・丘での租賦徴収や穀倉への穀物搬入出を長沙周辺・外部の地理に関連づけて具体的に理解する際の基礎となるものであり、上述の本研究の目的の基礎として充分な意義を有するといえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画では、初年度は1.魏晋期簡牘と歴史地理資料の集成と分析のうち(1)走馬楼呉簡の形態観察と簡牘出土状況の検討、および(2)地理的環境の検討を実施する計画であった。このうち(1)については「研究実績の概要」欄に詳述したとおりの成果を挙げており、順調に進展している。(2)については、必要となる歴史地理関係書籍・地方志史料の収集・購入を行っており、整理・分析に若干の遅れはあるものの、概ね計画どおりに順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

第二年度は、出土簡牘と地誌・地方志史料および現地調査に基づき、後漢末~魏晋時代の長江・湘江流域の地方政治・社会の動静を明らかにするために、当初研究計画に基づき、初年度の(1)(2)の成果をもとに、中国・湖南省長沙市の長沙簡牘博物館に赴き、主として(1)と関連する簡牘実見調査、ならびに(2)に関連する地理的状況を含む周辺環境の検討を実施する予定である。なお、8月に長沙市で開催予定の「紀念長沙走馬楼三国呉簡出土20周年国際学術研討会」に出席し(1)に関連する成果を報告する予定であり、かつ「研究実績の概要」欄で述べたように本課題をもとに科学研究費・国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)の交付内定を得ているため、現地調査、とくに(2)に関連する周辺環境の検討は、研討会ならびに国際共同研究加速基金による現地研究機関滞在スケジュールとの関係で実施時期・方法等を調整する。なおその調整に当たっては、必要に応じ、本研究でアドバイザーを依頼している關尾史郎(新潟大学)・伊藤敏雄(大阪教育大学)両氏の意見を求める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 典田掾、勸農掾的職掌與郷──對長沙呉簡中所見“戸品出錢"簡的分析2015

    • 著者名/発表者名
      安部聡一郎(劉峰訳)
    • 雑誌名

      簡帛研究

      巻: 二〇一五秋冬 ページ: 238-256

    • 査読あり
  • [学会発表] 《試論復作、弛刑及其時代意義》評議意見2015

    • 著者名/発表者名
      安部聡一郎
    • 学会等名
      第九届中國中古史青年學者國際會議
    • 発表場所
      中国・武漢市・武漢大学
    • 年月日
      2015-08-23
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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