研究課題/領域番号 |
15K02894
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
村井 恭子 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (50569291)
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研究分担者 |
赤木 崇敏 四国学院大学, 文学部, 准教授 (00566656)
鈴木 宏節 大阪大学, 文学研究科, 招へい研究員 (10609374)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 東洋史 / 唐代史 / 宋代史 / オルドス / 石刻史料 / 遊牧民 |
研究実績の概要 |
本研究は、7~12世紀(唐~宋代)の中国オルドス地域を拠点としたモンゴル系・トルコ系・チベット系の遊牧諸勢力の活動実態と、また彼らの有する軍事力によって活性化されたユーラシア東部地域の政治・社会を再構成することを目的とするものである。具体的には、碑石・墓誌・文書・岩壁銘文など当該地域で発見された文字資料を主要な材料として考察を行うこと、遺址(城塞遺構・埋葬遺跡)や遺物(石人・板石墓)の現地調査の成果を取り入れることを目指すものである。本年度は以下の活動を行った。 (1)当初の調査予定であったフフホトから西安に至るオルドス縦断ルートの現地調査を実施した。このルートは、陰山南麓~オルドス北部~オルドス中央部という唐代の辺境防衛ラインを北から南へ縦断するものである。本年度は当該地域の遺址・遺物の位置や現在の情況の確認を行った。また同時に、文書・石刻などの文献資料の調査を行った。その際、現地の文物管理者・研究者から本研究に関連する情報の収集を行うことができた。さらにはその研究者の紹介で、近年新たに建設されたオルドス博物館や陝西省考古研究院の博物館などの参観の機会を得、展示品の調査を行うことができた。 (2)現地調査の成果を参加メンバーと分担で整理し、碑文のテキスト化および分析作業を進めた。 (3)2,3ヶ月ごとに1度、参加メンバーで会合を開き、本年度の調査に係る小報告および次年度の調査の打ち合わせを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度はフフホトから西安に至る縦断ルートを調査したが、横断ルート(銀川~太原)に点在する遺跡や墓誌といった文物および景観の一部も調査することができた。さらに現地の研究協力者と計画全体の調査内容についても相談・協議し、未踏破の調査地や文物についての情報を得ることができた。 また、本研究の代表者および分担者が、本年度の調査による成果を口頭発表や論文として発表することができた。 最終年度に計画している国際シンポジウムの計画についても、中国側の研究協力者一名に評論(コメンテーター)の役割で参加してもらえるか打診したところ、承諾の返事を得た。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はフフホトから西安への縦断ルートによる調査を行ったが、横断ルートで調査予定であった遺跡・文物も一部調査でき、また関連の情報も十分に得たため、次年度では計画を一部変更し、銀川から西安に至るルートを中心に調査する予定である。 このルートを選んだ理由は、唐から五代にかけて吐蕃や吐谷渾・党項・テュルクなど諸民族がオルドスを侵攻したり、オルドスの地の覇権を争ったりした際に、密接に関係する地域であり、オルドスという地域の歴史にはたした役割を分析する点においては非常に重要な地域だからである。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度と次年度の経費は主として海外の遺跡・文物調査のための旅費である。そして最終年度に中国から研究者を呼び国際シンポジウムを開催する予定である。ただし、本年度は参加メンバーの予定が、所属機関の変更などによってやや不透明な情況となったため、計画の微調整を行うこととした。 当初の研究計画では本年度は縦断ルート、次年度は横断ルートの調査を行う予定であったが、本年度はルートの一部変更などにより予定経費の使用額が減少し、次年度使用額が生じることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は横断ルートで調査予定であった遺跡・文物をある程度調査し得たため、次年度では、横断ルートよりやや距離のある銀川から西安に至る調査ルートに変更する。また参加メンバーを増やし、連携研究者として岩尾一史(研究者番号:90566655)を一名迎え、その経費にあてる。岩尾は吐蕃史の専門家で古代チベット語にも秀でており、本研究に密接に関わる重要な専門知識を有する。
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