本研究は日本の江戸時代後半期に相当する時期の中国北京の歴史研究に属し、清代北京の災害復興と食糧問題、及び都市社会に焦点を当てたている。中国の首都である北京は悠久の古都であり、現在も複数の世界遺産が存在している。本研究は次の点を明らかにした。1)都市北京の水害と水害救済の諸相、2)南方より大運河を通じて北運される年貢米である漕糧が官僚と兵士に俸禄米として支給されたの後、商人に販売され、北京城内で流通し消費されていた、3)政府は食糧の安定供給のため米穀流通を規制していた。本研究は、わが国における北京及び中国の歴史的理解を深化させ、隣国中国の理解に資するものである。
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