最終年度は、先2年間の研究をまとめつつ、夏にアメリカにおいて外交史料館、国連アーカイブ、ならびにスタンフォード大学フーバー研究所でエリトリア史に関する史料渉猟を行った。エリトリアを取り巻く国際関係の変化により、40年代のイギリス軍政期からアメリカ軍の駐留が始まっており、エリトリアに関する史料はアメリカにも多く、他国の外交史料、行政史料と突き合わせることで社会史の理解が深まった。また国連アーカイブでは1950年のエチオピア・エリトリア連邦制の制度構築ならびに1951年に実施された第1回国会議員選挙前後のエリトリア情勢と国連の立場を明らかにする史料の渉猟を行うことが可能となった。特にイギリスや他の刊行史料にはない、エリトリア人の女性たちのロビー活動など選挙権を与えられなかった女性たちによる政治活動の一端を明らかにする史料も渉猟することができた。 一連の研究の成果を2017年度中にすべて刊行することはかなわなかったが、エリトリアの脱植民地化について北東アフリカの文脈で比較検討する論文を刊行することができた。
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