研究課題/領域番号 |
15K02909
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
森 和 成城大学, 民俗学研究所, 研究員 (10367146)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 古代史 |
研究実績の概要 |
2018年度は、まず秦漢代の「日書」三篇(放馬灘秦簡・睡虎地秦簡・孔家坡漢簡)に対して五行説からの総合的な分析を行い、「日書」に見える五行説には相勝説と配当があり、配当の背景には二種類の干支を配当する原理が存在すること、占辞に列挙されている様々な吉日・凶日を五行説から解釈できる占術が多くないこと、個々の占術で土行の扱いが異なり、それらが雑然と「日書」という抄録されていることなどを明らかにした。この成果の一部は、8月24日~27日に中国・北京の清華大学で行われた「第一届出土文献与古代文明青年学者研討会」に参加し、「秦漢《日書》所見的五行説」と題して発表した。 また「日書」との関係性が注目されている『史記』日者列伝について、その補作に関する諸注・諸説を整理し、列伝本文の構成と内容から検証することで、現行日者列伝が司馬遷による序文・司馬季主の故事・「太史公曰」と「チョ少孫曰」以下の補文からなることを論証し、補文中に見える武帝の「占家聚会」を「日書」を用いて再現することにより、「日書」の実用性を具体的に示した。この成果の一部は、3月21日~24日にアメリカ・デンバーで行われたAssociation of Asian Studies Annual Conferenceのパネル「In and Out of the Grand Scribe’s Records: New Perspectives on the First History」で、「Some Problems in the “Biographies of the Diviners of Lucky Days”」と題して発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『秦簡牘合集 釈文注釈修訂本』および『北京大学蔵西漢竹書』に準拠し、睡虎地秦簡・放馬灘秦簡・周家台秦簡・岳山秦墓木牘、北京大学蔵漢簡「節」・「堪輿」のデータ入力を完了し、データソースの拡張充実を図り、昨年度までの遅れをいくらか解消した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は睡虎地秦簡「日書」に抄録される各種占卜を基準として放馬灘秦簡など他の「日書」に見える占卜を全て整理分類し、体系化をおこない、またこれまでの研究成果を一つにまとめて、pdfファイルで成果報告書を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 適任者が確保できず、データ入力などを自分で行ったことなどにより、計画していた人件費・謝金を支出せずに済み、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 逐次に刊行される発掘報告書など必要なテキストや研究書の購入、成果報告書作成に関連する諸費用としての使用を計画している。
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