まずExcelで作成した「日書」のデータベースを活用して多種多様な占いを分類し、個々の資料の傾向を分析した。次にその過程で浮上した放馬灘秦簡「日書」乙種だけに見える音律占いと「死者復生」故事についてそれぞれ検討を加え、その特徴や葬送習俗などを考察した。また「日書」の占いで多用されているとされる五行説について検討し、五行説に基づく占いが意外に少ないことを明らかにした。「日書」との関連が指摘されてきた『史記』日者列伝の補作説を再検討し、司馬遷の作ではないとする疑念や根拠の薄弱さを指摘し、当該列伝の編纂過程を推定して従来の矛盾を解消し、さらに「日書」の実用性を具体的に明らかにした。
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