本研究は、中国隋唐礼制研究動向の現状を整理し、新たに石刻資料の活用を促すための研究基盤づくりを目標として行ってきた。本年度は最終年度として、これまで整理を行ってきた①各種石刻に関する所在情報と研究史の整理、②重要な祭祀儀礼関連碑石に関する現地調査、③礼制研究の現状に関する研究報告、④研究論文の発表及び礼制関連文献目録(1980~2015)・礼制関連石刻資料目録を作成する、という計画であった。 ①の各種石刻に関する所在情報と研究史の整理については、2017年夏にパソコン破損によるデータ消失のため、現在復原整理を進めており、2018年夏の再整理完成を予定している。②の現地調査については、夏に陝西省西安市において大唐西市博物館・碑林博物館・西安交通大学博物館・西安博物院での調査を、また冬に北京国家図書館・国家博物館での調査を行い、とくに廟碑碑陰等の情報を収集した。国内調査として東北大学所蔵拓本の調査を行い関係碑文の情報を入手することができた。③礼制研究の現状に関する研究報告として、2017年5月に國學院大學・国史学会例会において「中国隋唐礼制研究の現在」と題する研究報告を行い、2018年2月に比較思想学会近畿支部例会(於佛教大学)にて「唐代の社会と礼」(報告要旨は『比較思想研究』44号、2018年3月に掲載)と題する研究報告を行った。④の研究論文としては、中国古代~中世の礼制を概観した「国家祭祀と喪葬儀礼」(鈴木靖民等編『日本古代交流史入門』、勉誠出版、2017年6月)、唐代の社会と礼秩序に関する論考として「判文からみた唐代の礼と社会秩序」(『法史学研究会会報』21号、2018年3月)を発表したほか、「南北朝隋唐礼制関連研究文献目録合訂版(1980~2015)」に20世紀~近年の礼制研究動向を付してオンデマンド版を作成し、本研究の成果とした。
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