研究課題/領域番号 |
15K02923
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研究機関 | 公益財団法人東洋文庫 |
研究代表者 |
大澤 正昭 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (30113187)
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研究分担者 |
斯波 義信 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (00039950)
徳永 洋介 富山大学, 人文学部, 教授 (10293276)
渡辺 紘良 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (90049180)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 日用類書 / 告訴状 / 客商 / 算法 |
研究実績の概要 |
1、明代日用類書のうち『三台万用正宗』の訳注をおこない、律例門、商旅門、算法門について一応の完成を見た。そのうちの律例門は前年度までに前・後二部に分けて公開したが、後半部分について、2017年度末に改訂版Ver.1を(公財)東洋文庫のホームページに公開した。 2、研究代表者は律例門を題材にして商人たちの告訴活動の現状について研究し、研究論文を公表した。そのなかで、告訴状の作成を必要としていた商人たちとは遠隔地貿易をおこなう客商であり、告訴状の内容分析から彼らが直面していた商業活動上の諸問題を解明することができた。同時に、従来不明確とされてきた日用類書の読者のうち、重要な部分がこうした客商によって占められていたことが解明された。 3、日用類書の目録編纂作業については、明刊本の国内所蔵機関目録をほぼ完成し、上記1、と同じく目録稿としてホームページに公開した。 4、前年に引き続き研究文献リストの作成作業を進めてきたが、分量の多さという問題に直面しており、いまだ公開するまでには至っていない。 5、研究交流については、日用類書を題材として研究を進めている、他分野の研究者と交流をおこなうことができた。具体的には、明代文学の研究者として著名な小川陽一氏をお招きしてお話をうかがい、貴重なアドバイスをいただいた。このときのご指摘をもとに、2017年度に公開した律例門訳注の大幅な見直しをおこなっているところである。その経過報告的な成果が上記1、の改訂版Ver.1である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進展を支えているのは、ほぼ毎月1回開催される研究会であり、そこでの研究報告や訳注の検討である。このなかで研究代表者・分担者の研究交流をおこなうとともに、進捗状況を確認しあっている。また若手研究者をアルバイトで雇うことによって、日用類書目録作成のような、ネット検索を主体とする作業をおこなっている。
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今後の研究の推進方策 |
1、2018年度は最終年度であるので、『三台万用正宗』の前期三門の訳注を完成させる。その成果は東洋文庫ホームページに公開する。 2、われわれの研究成果の大枠が固まると予想される今秋、国際シンポジウムを開催する。中国・台湾の研究者を招待して報告してもらい、討論をおこなう準備を進めている。 3、研究文献リストを完成させる。研究の現状からすると、詳細なものを完成させるのは不可能だと思われるので、主要な書籍と論文を網羅したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の本務機関での業務上の理由により、出張期間が当初予定よりも短くなったため、旅費が余ってしまった。同氏は今年度の国際シンポジウムにコメンテーターとして参加する予定なので、その折の旅費に充当したい。
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