研究課題/領域番号 |
15K02924
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山本 文彦 北海道大学, 文学研究科, 教授 (30222384)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 永久帝国議会 / 神聖ローマ帝国 / 皇帝 / 帝国国制 |
研究実績の概要 |
平成29年度においては、平成28年度に引き続き、レーゲンスブルクで開催された「永久帝国議会」における『皇帝主席委員文書』Bericht1735年~1752年のデータ化作業を行うとともに、当該文書の内容の整理作業を進めた。項目としては、昨年以前からからと同じ方針のもとで、皇帝から主席委員への指示事項、主席委員と補佐官の間での情報交換、主席委員と帝国等族の使節の間での情報交換、その他、個別の案件毎の整理作業を進めた。 この一連の作業により、「永久帝国議会」におけるさまざまな案件の処理のプロセスおよび「永久帝国議会」で行われていた情報交換の実態の一部が明らかになってきた。 さらに、「永久帝国議会」を中心とした、皇帝・主席委員・補佐官・帝国等族の使節・帝国等族の間における情報の流れ方について、いくつかの個別案件において具体的に再現できる状況に至った。これと関連してレーゲンスブルクにおける印刷工房の実態とウィーンとレーゲンスブルク、レーゲンスブルクと帝国等族の居所の間の通信手段についても具体的に状況を把握することができるようになった。 このような史料整理とともに、17世紀における皇帝宮廷に関する論考、関連する帝国国制史研究の論考を読むことにより、現在の同分野における学会動向とその問題点の把握に努めた。特に、ウィーン宮廷についての研究が進んでおり、レーゲンスブルクの「永久帝国議会」との間の人的関係を具体的に把握することができる状況にあり、ウィーン宮廷を視野に入れた研究の必要性が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度も当初計画していたレーゲンスブルクとウィーンでの史料調査を行うことができなかった。これは所属している文学研究科の研究科長として公務に膨大な時間が取られたことによる。 その一方ですでに手元にある史料のデータ化作業とその整理は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
『皇帝主席委員文書』のデータ化作業を引き続き進めるとともに、データ化した史料の整理作業を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)当初予定していた外国での史料調査を実施することができなかったことによる。 (使用計画)『皇帝主席委員文書』のデータ化作業を優先的に行うとともに、関連する研究文献等の購入を進める予定である。
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