本研究は、史上初の地図帳であり1570年から1641年まで48版を出版したオルテリウスの『世界の舞台』に掲載された全地図を収集・分析することで、世界諸地域間の階層・序列化の思考プロセスと統合システム、すなわち「目的を達成させる世界」(ドメイン、domains)を明らかにすることを目的とした。その結果、大航海時代の成果といわれるにもかかわらず、アメリカ=新大陸はアフリカ大陸、ロシアと同様に世界の周縁に位置づけられ、一方でアジアは伝説とかかわる歴史世界から現れ、日本地図を大縮尺で加えることでヨーロッパの共時的世界に引き込まれたこと、またヨーロッパ西部の内陸部に次第に西進する重点化地方を見出した。
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