研究課題/領域番号 |
15K02939
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
青島 陽子 神戸大学, その他の研究科, 講師 (20451388)
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研究分担者 |
福嶋 千穂 東京外国語大学, その他部局等, 講師 (50735850)
梶 さやか 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (70555408)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ロシア・東欧 / 近現代史 / ナショナリズム |
研究実績の概要 |
2015年度は、ロシア帝国西部地域におけるナショナリズムの多層性について社会史的な分析を進め、世界的な学者と意見を交換し、その研究内容を深めた。ICCEES(国際中欧・東欧研究協議会)第九回世界大会(幕張)にてパネルを組織し(「Tangled nation-building competition in Ziemie zabrane (eastern region of Poland) or Zapadnyi Krai (western region of Russia)」)、そこで研究報告をした際に、世界的な学者と交流を深め、当研究課題に関しても、次の成果につながる意見を得た。さらに、幕張での国際学会の後に、パネリストを神戸に招聘し、神戸でワークショップ(“Empires, religions, and nationalisms in Central and Eastern Europe and Russia”)を開催した。そこでは、別の財源で招聘されたポール・ワース氏、コンスタンチン・ヨルダッキ氏に中・東欧・ロシアの帝国的統治・宗教・ナショナリズムについての報告をしてもらった。そのさい同時に、当研究プロジェクトの海外協同研究者であるオルガ・マスチャニツァの報告原稿を研究代表者が報告し、協同研究者の福嶋千穂、東方ユダヤ人の専門家である高尾千鶴子氏にディスカッサントを務めてもらい、さらに、ロシア帝国の仏教徒の専門家である井上岳彦氏を招き、フロアから議論に参加してもらうことで、当研究課題を進展させる学術的議論を行った。当ワークショップには、関西全域から研究者・院生含め30名程度が参加した。こうした議論は、その後の発表された青島陽子「ロシア帝国の「宗派工学」にみる帝国統治のパラダイム」や福嶋千穂『ブレスト合同』に生かされることになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、幕張国際学会と神戸のワークショップに、海外協同研究者のオルガ・マスチャニツァが参加する予定であったが、急な重病のために来日することがかなわなかった。この点は予期しないハプニングであった。しかし、国際学会・ワークショップ双方のために、当人が発表原稿を送付してくれたために、両会議共に実現された。とくに神戸のワークショップでは、その後の研究打ち合わせも含め、海外からのゲストやフロアから十分な時間をかけて意見をもらい、当研究課題を深めることができた。こうしたことからも、2015年度に予定されていた研究活動として十分な進展が見られたと言える。さらに、こうした活動を通じて得られた意見を加えて、論考や出版物も発表された。この研究成果の発表を通じて、さらに国内の研究者のコメントも得ることが出来たことで、さらに2016年度の研究の進展が望める状態であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度は、2015年度の国際学会・ワークショップでの意見交換を踏まえながら、リトアニアの首都ヴィリニュスで、海外協同研究者の所属機関であるリトアニア歴史学研究所で国際シンポジウムを企画している(8月22日・23日:"Entangled interactions between religions and national identities in the space of the former Polish-Lithuanian Commonwealth")。この国際会議には、協同研究者の福嶋千穂、オルガ・マスチャニツァの他、開催地であるリトアニアの研究者のみならず、ロシア、ポーランド、アメリカ、ハンガリー、ウクライナ、イスラエルなどから、総勢17名の学者が集まる予定である。この国際会議を通じて、さらに共同研究全体が大きく進展することが期待される。 さらに、上記の国際シンポジウムでの討論を踏まえた研究成果の公表を随時行っていくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年度において、密接に関係するテーマで別の研究資金が得られた。そのため、その研究プロジェクトとコラボレーションしつつ研究活動を推進したことで、本研究課題を大きく進展させることにはつながったが、直接的に使用する資金は減少した。したがって、残余分を2016年度の当該研究課題の推進に利用することが可能になった。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度は、8月22日・23日にヴィリニュスで国際シンポジウムを計画中である。現在、概ねプログラムが策定され、日本とリトアニアの他、ポーランド、ロシア、アメリカ、ウクライナ、ハンガリー、イスラエルなどから、17名の最先端の学者の参加を見込んでいる。このシンポジウムによって、当該研究課題が大きく進展することが期待される。主に、2016年度の助成金は、当大型国際シンポジウムの資金として用いられることになる予定である。
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