研究課題/領域番号 |
15K02949
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
赤江 雄一 慶應義塾大学, 文学部(日吉), 准教授 (50548253)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 聖体の祝日 / マス・メディア / 説教 / ヨーロッパ中世史 / 古文書学 / 史料研究 / 教皇 |
研究実績の概要 |
本年度においても、説教史料収集を引き続きおこなった結果として、ほぼ想定されるもののうち8割程度集められたと考えている。収集された写本史料の transcription 文字起こしの作業を進めた。さらに、関連資料収集の作業を継続した。 本年度は、こうして集積しつつある史料の分析の予備作業として、ある教説が、いつ誰がとどこでどのような立場で、どのような教説を、どのような聴衆を念頭において、どのようなテクニックを用いて、どのような言語で、その説教を著述しているかをみきわめることを可能にする基礎研究について多くの成果をえた。その研究成果については、聖体の日と結びつけられてきた1381年の農民反乱時の説教については2016年6月の西洋中世学会第8回大会において、説教形態、タイミング、メッセージ内容、聴衆の関係については2016年7月の国際中世学会 International Medieva Congress の説教に関する専門のセッションにおいて、説教の「見巧者」としての学識ある聖職者については、2016年11月の南デンマーク大学で開催された北ヨーロッパにおけるドミニコ会に関する国際会議において、さらに、教皇ヨハネス22世の説教の特殊性については 2017年2月に立教大学で開催された国際学会において報告を行った。 くわえて、セント・オーガスタイン(アメリカ・フロリダ州)で開催された国際中世説教学会に参加し、最新研究にふれるとともに、研究打ち合わせを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述したように、集積しつつある史料の分析の予備作業としての基礎研究は大幅に進展し、おおくの知見を得て、海外での報告を数多く行うことができたが、その反面、収集した史料の文字起こし作業 transcription について遅れをみているため。
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今後の研究の推進方策 |
29年8月ないし9月にヨーロッパ(とりわけイギリス)での史料および研究文献の収集を行うとともに、収集した資料の文字起こしと分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外での学会報告が2度、および海外での学会参加および研究打ち合わせのための渡航を1度おこない、さらにその時点では3月の史料収集のための出張についても計画していたために残高不足が生じる必要があり、前倒し使用請求をおこなった。しかし3月の出張が実施されなかったため、前倒し分をすべて使用することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年8月ないし9月にヨーロッパ(とりわけイギリス)での史料および研究文献の収集のための出張を行う。国内においても継続的な文献収集を行う(マイクロフィルム等の購入)。
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