研究課題
基盤研究(C)
本研究は、中世後期イングランドにおいて特別な重要性をもった聖体拝領の教説を扱う説教史料の理解に寄与した。説教を用いてどのように伝播したか、その様相の把握を史料の同定から読解までを通じて行うとともに、中世後期のイングランドにおける説教というメディア自体の変貌の把握に寄与し、メディア・コミュニケーション史と宗教史との統合的探究の可能性を拡大した。
西洋中世史
本研究は、中世ヨーロッパ社会において社会全体を纏める制度として機能していたカトリック教会が、比較的新規に誕生した教説を、活版印刷発明以前の状況のなかで普及させるために当時の大量言説普及システムである説教をどのように用いたのかを、イングランドに即して検討したものである。活版印刷以降の出版世界がインターネットによって大きく変貌しつつある現代に(意外にも)通じる、あるいは示唆するところがある。