研究課題/領域番号 |
15K02959
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研究機関 | フェリス女学院大学 |
研究代表者 |
梅崎 透 フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (30401219)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アメリカ史 / イギリス史 / ニューレフト / 19060年代 / ベトナム反戦運動 / カウンターカルチャー / 学生運動 / 環大西洋知識人交流史 |
研究実績の概要 |
① 1960年代アメリカで出版された、ニューレフトやカウンターカルチャーのパンフレットや雑誌を電子化したデータベースThe Sixties: Primary Documents and Personal Narratives, 1960 to 1974 (Alexander Street, ProQuest Company)のアクセス権を2年契約し、史料調査を開始した。このデータベースにより、一次史料収集の効率が飛躍的に高まった。 ② 2017年3月13日から21日にかけて、イギリスでの史料調査を行った。ロンドンのジョージ・パドモア・インスティテュートでは、アメリカを起点として、ロンドンをハブに環大西洋に広がるブラックパワー運動関連の史料を収集した。また、コヴェントリーのウォーリック大学現代資料センターでは、イギリスでのベトナム反戦運動関連の史料を収集した。これにより、1960年代のイギリスにおけるラディカリズムの連結点を精査した。 ③ 冷戦期アメリカの渡航禁止を巡る議論をパスポートの歴史にからめ、論文として執筆し、兼子歩・貴堂嘉之編『「ヘイト」の時代のアメリカ史――人種・民族・国籍を考える』彩流社(2017年2月)の一章として出版した。ニューレフトによるキューバ渡航をめぐる政治運動は、「移動の自由」を正面から扱うもので、運動の新たな側面を描き出すことに成功した。 ④ 日米の新左翼/ニューレフトのフランス実存主義の受容について比較研究し、「新左翼とサルトル/ニューレフトとカミュ――日米の「1960年代」と実存主義」として『社会文学』45号(2017年2月)に発表した。実存主義はグローバルな1960年代のキーワードであり、フランスを頂角として、日米を他の二つの角とした三角比較をおこなうことで、運動の文化的側面を内在的に掘り起こすことに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
① 研究対象を多角的に分析し、その成果を論文として発表できたことは、着実な成果であった。 ② データベースおよび現地での史料調査によって、英米のニューレフトおよび1960年代の連関が、具体的に浮かび上がりつつある。 ③ 調査を通じて、関心を共有する内外の研究者との交流が図れた。
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今後の研究の推進方策 |
アメリカ学会2017年大会において、これまでの成果を英語で報告する。そこでの議論をふまえ、これを文章化し発表する予定である。また、これまで収集した史料の分析をすすめ、収集が不十分な部分については新たな史料調査を行う。実証研究が進んだ部分から順次執筆をすすめる。 平成29年度はとくに、ベトナム反戦運動が、英米の知識人や学生にどのように共有されたか、またその知がそれぞれの国内でどのように受容されたかに注目し研究を進める。
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