共同研究者とともにバチカン図書館、教皇庁立グレゴリアーナ大学図書館、同ウルバニアーナ大学図書館、ソルボンヌ大学図書館古代史中世史資料室、フランス国立図書館ミッテラン館、リシュリュー館(写本室、マイクロフィルム室)、リモージュ図書館でヨーロッパ中世教会史資料の調査収集解析を行った。初年度に教皇庁列聖省の講座の受講(神学、聖人伝、教会法)などで得た知識を活用し、まず、サン・レオナール参事会教会のメディア戦略を、先行研究では看過されてきた聖堂参事会改革文書を活用して解明した。続いて、最終年度にサン・レオナール参事会教会の研究に比して、やや進行が遅れていたサン・マルシアル修道院の共同研究を基礎研究の分野で大きく進展させることができた。つまり『聖マルシアル伝』編纂の際の重要な構成要素として知られる『聖ヴァレリア伝』の刊本の欠落箇所のラテン語写本による復元作業が遂行され、その成果が共同研究者によって雑誌論文のなかで公開された。 研究代表者は研究の成果を公開するために、愛知大学人文社会学研究所ワークショップを企画運営し、研究状況を広い視点から整理した。また研究成果を整理し、キリスト教史学会(於東京女子大学、於北星学園大学)、愛知大学土曜会、名古屋歴史科学研究会(於名古屋大学)、西洋中世学会若手セミナー(於同志社大学)、イギリス児童文学研究会(於中京大学)で発表した。 前年度の愛知大学人文社会学研究所ワークショップの成果を集成した研究報告論文集が年度末に刊行された。サン・マルシアル改革文書および『聖レオナール伝』の調査も予定通り進めることができた。その研究成果を雑誌論文としてまとめるという最終段階の仕事が残されている。
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