本研究は、一九世紀後半から始まり、今日においてもハワイの水産業界に多大な影響力を及ぼしている、ハワイの日本人漁業について、主に社会史的な観点から明らかにした。特に、プランテーションにおいて従属的な立場に置かれていた日本人移民が、なぜ漁業を中核とする水産業界では主導的な立場に立てたのか、日本の漁村文化がハワイにおいてどのように変遷したのか、戦時中における漁業の実態と戦後における復興の様子、さらに戦後の大きな政治的経済的変遷の中で、漁業がどのように変容したのか、といった観点について、解明することができた。これらの研究成果は、『海の民のハワイ』(人文書院)をはじめとする著作にまとめられた。
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