研究課題/領域番号 |
15K02979
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
高田 健一 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (70403368)
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研究分担者 |
中原 計 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (20398027)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 砂丘遺跡 / クロスナ層 / 鳥取砂丘 |
研究実績の概要 |
2015年度は直浪遺跡における第8次となる発掘調査を実施した。3m×5mの調査区内を掘り下げた結果、これまでに第7次調査で確認していた2層のクロスナ層(第1、第2クロスナ層)を確認することができたほか、推測したものの未確認だった第3クロスナ層が存在することを確認した。ただし、調査を実施した場所は、第7次調査地点よりもかく乱が多かった上に湧水の影響によって、第2クロスナ層以下の層の調査が十分にできなかった。今後は再び第7次調査地点に近い場所で調査を実施する必要がある。 発掘調査に伴って、C14年代測定とプラントオパール分析を行なった。C14年代測定結果によると、クロスナ層の土壌中有機物を対象にした年代測定では、考古学的な遺物の年代観と合わないことが判明した。一方、層中の炭化物や土器付着炭化物では既往の年代観と調和した年代が得られた。土壌中有機物による年代は、上下の逆転が多い上に、特定のクロボク層、クロスナ層の年代に近い値が散見された。風成堆積層であることを前提とすると、風上側に露出したクロボク層やクロスナ層の再堆積の可能性が考えられた。プラントオパール分析の結果、一部の層に水田レベルの多量のイネの存在が示唆された。水田経営が可能な環境ではないため、陸稲などの可能性がある。今後は畑の存在を考慮しつつ、調査を進める。 既往の出土遺物について再整理を進めた。県立博物館所蔵の直浪遺跡出土資料を洗浄し、遺物台帳を作成しつつある。また、第2次調査として行なわれた1967年の発掘調査成果が未報告であり、遺物の所在も不明であったが、関係者の協力を得て所在と内容の確認ができた。今後はそれらの洗浄、資料化を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初設定した研究課題のうち、発掘調査、古環境分析については概ね順調に実施できているが、出土遺物の整理は、量が多いことからやや遅延している。また、県立博物館所蔵の直浪遺跡出土資料や1967年の調査資料の再整理を企画したが、十分に訓練を積んだ整理作業員が確保できなかったことから、予定通りの進捗とはなっていない。今後は、県立博物館、鳥取市教育委員会などと適切に連携しつつ、進めていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度はこれまでの調査で確認できていない堆積層の把握に努めるため第9次発掘調査を予定している。クロスナ層の成因や堆積状況について、新たに解決すべき課題が出てきたので、古環境分析の手法を増やすことを検討する。具体的には土層の軟X線分析など、土壌のかく乱や生痕などの把握を目的とした調査を追加する。2017年度にも課題が残れば、さらに現地調査を継続することを検討するが、ボーリングによって解決が可能であれば、発掘調査に代わる方法として検討する。 既往の出土遺物の再整理を、県立博物館などと連携しながら進める。資料化の方法に3次元デジタル化の手法など効果的に取り入れながら、効率的に進められるよう努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果や現在の調査内容を紹介する簡易な概要報告書を作成し、その発送のための封筒代・郵券料として当該額を見込んでいたが、納品が年度末になって年度内での発送準備ができなかった。実際の執行は2016年度になることから、封筒代・郵券料分として先送りしたものである。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の通り、封筒代・郵券料として使用する。
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