研究課題/領域番号 |
15K02993
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
西江 清高 南山大学, 人文学部, 教授 (10319288)
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研究分担者 |
渡部 展也 中部大学, 人文学部, 准教授 (10365497)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 考古学 / 初期国家 / GIS / 衛星画像 / 国際研究者交流 |
研究実績の概要 |
考古学から見た中国初期王朝時代の政治的空間構成について、GIS(地理情報システム)および衛星画像をもちいたリモートセンシングの手法によって分析することが本研究の目的である。初年度にあたる平成27年度は、まず基本となる衛星画像(1960年代のCORONA衛星画像)の入手とその幾何補正をすすめた。また、CORONA衛星画像のほかに最新の衛星画像についても入手し、GISおよびリモートセンシング解析の基本となる地図データの整理をすすめた。対象とした地域は黄河中、下流域である。黄河中流域、とくに黄河支流の渭河流域(関中平原)については、代表者と研究分担者は本科研の研究の以前からのデータの蓄積もあり、平成27年度は、主として衛星画像の解析と考古学上のデータの照合による初期王朝(主として西周王朝~秦王朝)時代の集落遺跡の分布の変遷を再検証する作業をおこなった。また、年度の後半には黄河下流域(山東省方面)にも視野を広め、山東省内の電子地図上に集落遺跡の位置の入力をすすめるとともに、現地の山東大学から専門家(路国権氏)を招いて研究交流をおこない、今後の協力体制について相談するとともに、研究集会を開催して路国権氏に最新の山東方面の古代都城址調査の進展について研究発表をお願いした。 山東省の遺跡位置の入力は次年度にも継続し、その完成によって山東方面の新石器時代~初期王朝時代(すなわち初期国家形成期)の集落分布の変遷について、従来になく精緻に分析できるものと期待している。山東省方面の分析は、中国初期王朝中心部の「畿内的地域」に隣接する周辺地域の政治的空間の動向を分析する最良の材料となる。なお次年度以降は、研究室におけるデータの解析のみならず、現地での実地調査をすすめていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の大学内における職務が、非常に忙しくなったため、平成27年度に予定されていた現地調査を次年度以降に変更することとした。平成28年度以降は研究代表者の情況も変化するので、再度計画して、現地調査を実施していく。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度において実施できなかった現地調査について、平成28年度および平成29年度に集中的に実施する。黄河下流域(山東省方面)については、現在すすめている集落遺跡の位置情報の入力作業を平成28年度内には完了して、年度内にはその初期的な成果を、国内学会ないし研究会において報告し、さらに平成29年度を目標に、国外の学術誌においても発表する予定である。また関連して、代表者が申請した科研以外の民間の助成金(大幸財団)によって、山東省から考古学の専門家1名(路国権氏)を平成28年度後半の半年間招聘する予定がある。同氏には本科研の研究協力者として科研の研究にも参与していただく予定であり、平成28年度以降は、山東大学との協力体制が期待される。このように、平成28~29年度にかけては、山東省方面の研究に注力していく予定である。 なお、平成29年度において研究代表者は、中国初期王朝時代の初期王朝の「外域」に相当する南方諸地域(香港・広東、台湾など)にも視野を広げ、当該地域における新石器時代から中国初期王朝時代の地域システムの変動について関連資料を収集する予定である。 以上のような平成29年度までの成果をもとに、平成30~31年においては、中国初期王朝時代の政治的空間構成の問題について、①黄河流域の「畿内的地域」(関中平原)とその隣接周辺地域(山東省方面)の詳細な分析、および、②中国大陸の南方諸地域(「外域」に相当する香港・広東、台湾)についての初期的研究成果を得て、これらを総括する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた現地調査(中国)が自己都合により実施できなかったため。これは研究代表者が現地調査を予定していた時期に、代表者が所属大学における職務に専念する必要が生じたことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度、29年度において現地調査(中国大陸、台湾)を集中的に実施する。
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