研究課題/領域番号 |
15K02995
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
工藤 雄一郎 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (30456636)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 年代測定 / 旧石器時代 / 縄文時代 / 土器付着炭化物 / データベース |
研究実績の概要 |
成28年度は,放射性炭素年代測定の再実施が可能な既存資料の探索を行うとともに,3~4遺跡,20点程度の新たな放射性炭素年代測定を実施する計画を立てた。また,平成29年度以降の測定対象となる資料の調査を併せて行うこととした。これに加え,遺跡発掘調査報告書に掲載されている放射性炭素年代測定例について,時代・地域を問わず悉皆的に調査しこれを集成することとし,28年度は関東地方のデータを中心に集成を行った。 すでに発掘調査・報告書の刊行が完了した遺跡での新たな放射性炭素年代測定については,長崎県泉福寺洞窟で過去に調査され保管されていた縄文時代草創期から早期までの炭化材の調査を行い,年代測定可能な試料20点を抽出した。このうちの6点について28年度中に測定を行い,残りは29年度に測定することにした。長崎県泉福寺洞窟の試料は,本年度は主に縄文時代草創期の隆起線文土器包含層を中心に実施したが,福井洞窟で得られた結果とも整合する測定結果が得られた。 また,酒々井町墨古沢南Ⅰ遺跡の後期旧石器時代前半期の炭化材の調査を行い,11点の試料を選定し,年代測定を実施した。また,千葉県墨古沢南Ⅰ遺跡では,後期旧石器時代前半期の環状ブロック群の年代を決定する上で重要な年代が得られた。また,この時期の古環境を明らかにすることを目的として,過去に印旛沼周辺で採取されたボーリングコアの試料に年代測定が可能な試料がないか,調査をおこなった。 遺跡発掘調査報告書の放射性炭素年代測定例のデータベースについては,関東地方の集成,入力が完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は長崎県泉福寺洞窟および千葉県墨古沢南1遺跡の年代測定を着実に進めることができ,当初から年度あたりに予定していた年代測定実施点数をこなすことができた。また,遺跡出土大型植物遺体の資料についても,直良信夫が収集した東京都北江古田の後期更新世の植物化石や岩手県花泉の植物遺体に新たな年代測定が実施可能な資料があることを調査で確認し,平成29年度以降の調査の見通しを得ることができた。 遺跡での年代測定例のデータベースでは,関東だけで約5000点のデータ入力を完了しており,順調に作業が進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
29年度は同様に,3~4遺跡の試料の放射性炭素年代測定を実施する予定である。また,発掘調査報告書の放射性炭素年代測定例のデータベースについては,東北地方を中心に入力作業を進める予定である。 このほか,平成27・28年度までの研究成果を,日本旧石器学会,日本植生史学会などの関連学会で順次公表していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部の年代測定関係の消耗品の発注が年度末に間に合わなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
年度当初に未発注分の発注をし,29年度の実験が円滑にすすむようにする。
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