本研究では、日本の古墳から出土する鉄釘に付着した材の組織を簡易なデジタルマイクロスコープを用いて観察し、従来の肉眼観察では明らかにすることができなかった釘との関係性を重視した材の軸方向や放射方向、年輪界のあり方など、釘の使用部位や棺材の木取り等を検討するための基礎的資料の収集を行い、古墳時代の釘付式木棺の用材利用法および棺構造復元のための方法論を深化させた。それとともに、具体的作業として関東地方を中心とした地域の釘付式木棺の棺構造について整理を加え、古墳時代木棺の総体的な展開過程の中に位置づけた。さらに木棺以外の金属部品を使用した木製品への方法的応用として、奈良時代の木櫃の復元案を示した。
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