研究課題/領域番号 |
15K03003
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松井 健一 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (50505443)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 環境紛争解決 / 先住民族 |
研究実績の概要 |
2015年5月にトロント大学でカナダの先住民族に関する環境紛争解決のためのインフィニティモデルを学会発表し、カナダの大学研究者や弁護士、国連研究所の代表と意見交換を行った。7月には、カナダの全国メイティー評議会に招聘され、カナダのサスカチュワン州中北部にある先住民族の間での会議に参加した。ここでは、特にカナダ西部の先住民族の政治家や弁護士などが集まり、メイティーの権利と鉱山開発(ウランなど)などについて話しあった。また、自らもこの地域の先住民族に関する歴史地理的な研究内容を発表した。さらに、本科研研究に必要な情報を聞き取りなどから収集した。2016年1月には、カナダ北方準州で2015年12月まで環境大臣を務めていたMichael Miltenberger氏とカナダの西部の州の間で水ガバナンスについて合意形成プロセスの中心的人物であるMerrell-Ann Phare(弁護士)を筑波大学に招聘し本科研研究に関する意見交換などを行った。 他には、松井が直接研究指導する博士後期課程のBanu Yasinと共同で、ネパール西部のラウテ民族と森林伐採の影響について10月~11月に調査・研究し、1月にハワイの学会で、2月にハーバード大学の学会で成果を発表した。現在、これについての論文投稿中である。また、同じく松井が直接研究指導する博士後期課程のNguyen Hong Sonとベトナムの環境問題とステークホールダー間の協力体制の構築について、フランス、スペイン、東京の学会で発表した。 さらに、松井は、4月にカナダの学術雑誌で先住民族の政策に関するInternational Indigenous Policy Journalに特集を組み、ゲスト・エディターとして特集を出版した。また、2月から現在進行中で別のWater Historyという学術雑誌の特集のゲストエディターを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
論文発表や学会発表というアウトプットについては既に述べたが、成果が昨年度はかなり可視化されるようになった。昨年度カナダの学術雑誌に発表した3本の論文のアクセス数は、急激にアクセス数が伸び、4月の時点で1254件となった。また、査読の依頼もカナダやヨーロッパ、アメリカなどから昨年度は3本あり、学術雑誌のエディターの依頼も来るようになった。ウェブサイトに研究成果を可視化したことで、多くの留学生からも指導の問い合わせが20件ほど来るようになった。こうしたことは、松井の研究成果の国際的知名度が向上してきたことを示しているだろう。また、地理学や歴史学など分野を超えた協力関係を構築することができただけでなく、弁護士や政治家、行政官などとも意見交換を行うことができた。 また、先住民族との連携についても、昨年度はカナダと沖縄に焦点を置いた。北海道のアイヌ民族ついては、申請当初予期していた協力者が2名他界してしまったため、活動を控えた。沖縄については、2016年1月に辺野古の問題について4度目のフィールドに入った。また、さらに多くの人と意見交換を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、継続して情報収集と共同研究の可能性を維持・拡大していく。また、出版も可能なかぎり増やしていく。紛争解決に関わる松井のインフィニティ型モデルの実証と拡充のため、合意形成論や意思決定論など多角的に論文を読み、ある一定量の情報を蓄積しておきたい。
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