研究課題
基盤研究(C)
本研究では旧利根川中・下流域における武蔵・下総の境界の変化の過程について究明を試みた。その結果、江戸前期の国絵図においては当該地域では下流域から中流域の順に境界が移動したことが想定される一方、朱印状にみえる村の所属は旧来の国郡のままとなっている事例がみられることを確認した。つまり江戸前期の当該地域における国郡境界の認識はいまだ一様でなかったということになる。従来、武蔵・下総国境の確立時期について諸説がみられるのも、このような状況を反映したものと考えられる。
歴史地理学