本研究は,2013 年に日本を含む先進国共通の重要な課題となり,その取り組みが模索されている「オープンデータ」をめざした社会の変化と,一般市民による「カウンターマッピング(対抗的マッピング)」との関係について研究を行うものである.特に本年度は下記の研究を中心に活動を行った (3)オープンデータを利用したカウンターマッピングの事例研究とその社会的意義・限界について カウンターマッピングは,トップダウン型の情報収集や対抗して,個々人の生活空間を基礎としたボトムアップ型の情報を収集し,分析するという特徴を持つ.こうしたカウンターマッピングにオープンデータ化がどのような影響を与えたのか,日本国内におけるいくつかの事例を収集し,オープンデータを利用して作成・公開された地図がどんなものか,描かれた地物,データの解像度,それらの表象の方法などの面から整理した.また,こういったカウンターマッピングがどのような社会的・政治的な意義をもたらしているのか,特に地域におけるどのような政治参加を現実にもたらしているのかについて考察を行った.これらの事例を考察することによって,オープンデータを利用したカウンターマッピングという形態を通じて地理情報が現実社会の中でどのように受容されているのか,またその方向性・可能性やその限界について議論を行った.カウンターマッピングに関する事例と理論的位置づけに関する研究を中心とした展望論文の執筆・学術雑誌への投稿については、研究分担者と共に執筆を現在進めている.
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