| 研究課題/領域番号 |
15K03011
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| 研究機関 | 九州大学 |
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研究代表者 |
今里 悟之 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (90324730)
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| 研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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| キーワード | 社会集団 / キリシタン |
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| 研究実績の概要 |
本研究課題全体の目的は，日本の農山漁村集落を対象として，田畑の一筆ごとに付された民俗的呼称について，流通範囲と歴史的変遷過程を明らかにすることである。この田畑一筆ごとの呼称を扱う場合，特定の時代や世代，あるいは集落や一定の集団といった多様な流通範囲を考慮する必要がある。このような流通範囲を考える場合，それぞれの集落における基礎的な社会集団が展開する地域的範囲やその内容・性質をまず明らかにする必要がある。
本年度，昨年度に引き続いて対象とした長崎県平戸島においては，在来宗教（神道・仏教），旧キリシタン，カトリックの三者が，集落内部で複雑に錯綜して存在し，時には集落を越えて一つの社会集団を形成してきた。本年度中に成果が確定した研究実績として，旧キリシタン集落の根獅子・春日・油水の三集落のキリシタン組織の編成原理と内容について，現地調査と文献研究に基づきながら，隣接する生月島とも比較しつつ明らかにした研究が挙げられる。この論文では，宗教学や民俗学などを中心とした従来のキリシタン研究で指摘されてきた信仰組織の編成原理に関する説には，一定の修正が必要であることを指摘し，このような問題を考える場合，地形条件，集落形態，人口規模，信仰組織以外の社会集団など，従来の社会地理学の分野で基本的視点となってきた諸条件を十分に考慮する必要性を提示した。
このほか本年度に実施し，現在，学術雑誌に投稿中または投稿準備中の研究結果としては主に，社会集団の紐帯の強さの一つの指標となる領域性の存在形態と宗教との関係について明らかにしようとした研究，平戸島内の宗教の複雑性を説明するための図式について，多数の事例集落での現地調査や既存文献に基づいて提示しようとした研究の２つがあり，これらについてはできるだけ速やかに成果として確定させたい。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該地域の社会集団の基本的理解が進捗しており，研究成果の英文誌への掲載を確定させることができた。
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| 今後の研究の推進方策 |
事例地域の一つである平戸島内全体の社会集団の編成原理や特徴についての理解をさらに深めるとともに，それらを基盤とした筆名の流通，あるいは変遷について，他の事例地域との比較を視野に入れながら，現地調査と文献研究を並行して進めていきたい。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
図書等の文献を利用した研究のための物品費が予定よりも大幅に必要となった一方で，旅費については予定したほどの支出が生じなかったため。
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| 次年度使用額の使用計画 |
次年度の旅費および物品費として着実に使用する計画である。
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