平成29年では、地域的に創造された環境産業を支援する政策を把握した上で、これら政策の影響を評価することを目的とした。この目的を達成するため、29年度には、以下のような研究計画を立てた。まず予備調査で、前年度に実施した産業集積による地域社会への影響に関する調査結果を再検討し、対象地域をさらに絞り込む。つぎに現地調査では、調査項目をもとに環境産業の成長を促進する政策やこれら政策の評価と関連した資料・統計も収集する。最後に、現地調査の結果を踏まえて、環境産業への政策の影響を定性的に評価し、その結果を学会等で公表する。 上述した研究計画にそって調査をすすめた結果、スウェーデンにおいては、環境技術国家戦略のもとで実施されたInnovation platforms for sustainable attractive cities事業が地域的な環境イノベーションや環境産業の創生に影響を与えていると考えられ、現地調査で、当該事業と関連する資料を収集する必要があることを指摘した。この予備調査の結果をもとに、平成27年8月22日から9月17日に、調査地であるスウェーデンのストックホルム、マルメ、イギリスのエジンバラ、ロンドン等で環境関連政策の担当官やこれらを対象とする研究者に対して対面調査を実施する一方で、環境政策と関連する資料を収集した。最後に調査後の分析では、環境政策の一部であるリビング・ラボを通じて、行政、企業、市民等の様々なアクターが関与し、都市の環境改善のための様々は環境イノベーションの創造に影響を与えていることを明らかにした。この研究結果の一部を国内の学会で報告した。
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