中国の産業構造の変化により、沿海部の大都市への人口移動は、大卒者などのホワイトカラーの移動が中心になっているとみられる。しかしながら、本研究課題の調査結果からは、このようなホワイトカラーの移動や移動後の定住を制約する要因も依然として存在していることが明らかになった。その一方で、移動者の出身地である中小規模都市では大都市との実質的な賃金水準の差は縮小しているとはいえ、多様な雇用機会の存在やアメニティの充実度といった生活環境の上では、依然として大都市との格差は大きい。そのため結果的には、大都市への過度な人口集中が確実に抑制されているとはいえない状況である。
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