研究課題/領域番号 |
15K03015
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
渡久地 健 琉球大学, 国際地域創造学部, 准教授 (30543764)
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研究分担者 |
長谷川 均 国士舘大学, 文学部, 教授 (80208496)
藤田 喜久 沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 准教授 (20771463)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | サンゴ礁微地形 / 民俗分類 / 漁撈活動 / 海洋生物 |
研究実績の概要 |
A. 最終年度に実施した研究の成果: (1)地元の要請もあり,与論島の調査に着手した。与論島は,堀信行氏がサンゴ礁微地形の民俗分類の調査を最初に実施した島であるが(堀 1980),民俗分類と漁撈活動の関係については,未解明であった。同島の網漁が微地形と深く関わっていることが明らかになりつつある(渡久地 2019)。前年度に引き続き,石西礁湖における漁撈と地形の関係を明らかにする調査を実施した(渡久地 2019)。(3)サンゴ礁民俗分類の嚆矢である堀信行氏の協力を得て,1980年以降の約30年間の,サンゴ礁微地形の民俗分類に関する研究蓄積を再検討し,今後の研究の方向性を探る検討会を持った。(4)海洋生物についての新知見を得た(藤田ほか 2019) B. 研究期間全体を通じて実施した研究の成果: 成果の一部は研究代表者の著書『サンゴ礁の人文地理学』(渡久地 2017,古今書院)にまとめたが,(1)中琉球に広く分布する「カタマ」と呼ばれる礁縁部にある凹地を中心に,「地形―底質―生物―漁撈」の関係性を生物地形学的観点から明らかにしたことが最大に成果である。(2)また,サンゴ礁地形の民俗分類やサンゴ礁地名の分析から,漁撈活動における微地形のもつ意味の重要性を明らかにした(渡久地 印刷中)。(3)本研究ならびに先行研究のサーベイにより,奄美・沖縄におけるサンゴ礁微地形にかかわる民俗語彙は約400語にのぼり,そのなかには,漁撈活動と深く関わっている語彙が少なくないことが明らかになった(渡久地2017)。(4)研究の過程で,甲殻類を中心に,サンゴ礁地域の海洋生物に関して新知見を得た(藤田ほか 2018;藤田ほか 2019)。 本研究は,交付申請書に記載した「研究の目的」をある程度達成でき,新たな研究(自然保護助成基金助成研究「サンゴ礁の恵みと漁撈文化」)に引き継がれることになった。
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