研究課題/領域番号 |
15K03019
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
吉田 栄一 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 准教授 (70450517)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 地域開発 / 国際開発 |
研究実績の概要 |
事情により渡航の延期を重ねていた南アフリカ・ザンビア調査行をようやく実施できた。ザンビアは銅の産出量が非常に多い資源大国であったが長期間の銅価格低迷で経済停滞が続いていた。しかし、銅価格の上昇と中国での需要急増から、ザンビア国の位置づけが変化し中国による外交重点国となっている。それにより中国による貿易投資の急増と多角的な開発協力が進展している。今回の調査は中国による貿易投資や開発協力に関するフィールドデータ収集と研究協力への同意をザンビア大学において取り付けること、また中国政府や企業による地域開発の概要を把握することを目的としていた。 ザンビア大学側関係者によると、中国政府による地域開発事業と日本政府の援助事業によるインフラ整備は重なる部分があり日、中、ザンビア政府は慎重に扱っている。中国政府主導による開発では進出企業は中国政府の貿易保険や投資融資を得た中国企業に限られており、一報日本政府の援助を受けた事例では多様な国籍の企業による投資とそれに伴う貿易が進んでいる。中国政府のバックアップを得た投資はインフラ整備、モール建設を含む小売商業、ホテル観光業など多岐にわたる。またザンビア大学の正門そばに目立つ形で孔子学院が設置されたり、空港ビルの更新、ルサカ市内交通システムの提案など急速に進んでいる。このようないわば表面的な部分の存在感の増加の一方で、ザンビア側は経済の根幹である銅価格の変化と対中銅輸出や木材輸出を注視しており、中国の進出を受け入れつつも慎重な部分も残している。 現地調査と並行して資料収集と研究作業を進め、成果の1つとなる以下の論文を刊行した。吉田栄一「経済発展と中国の進出」(島田周平/上田元編『世界地誌8 アフリカ』朝倉書店 pp.120-129)2017年9月
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は3年間の研究計画であったが、家族の事情により進捗が滞った時期があり1年間の期間延長となった。資料収集をもとにした分析作業と執筆については予定通りに進んでおり、昨年度中に論文を1本共編著において出版した。また英文論文についても出版準備まで終わっている。一方、現地調査と一次データによる実証分析の部分については昨年度ザンビアにて短期調査を実施したにとどまっている。引き続き、現地調査による一次資料、一時データの収集に取り組みつつ、既に収集している資料を用いて成果の執筆を進める。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は現地調査を2回予定している。8月末にザンビアおよび南アフリカにおいて、その後11月初旬もしくは2019年2月にも予定している。 今後は夏季の調査に向けて、ザンビア大学と協力しつつデータ収集を行い、中国企業の立地動向と土地の需給と土地開発の関係について追及していくこととしたい。また南アフリカについても現地研究者と連絡調整しつつ中国企業による地域開発動向をヨハネスブルグおよびケープタウンの2大都市圏にて分析し、今年度の成果をまとめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度中に予定していた海外現地調査が事情により実施されず、現地委託調査についても実施されなかったことから研究資金が残り、そのまま29年度中にもその分の支出がされなかった。30年中に2度の海外現地調査と委託調査を実施して資金を使用し切る予定である。
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