最終年度においては資料収集とインタビュー調査のためのフィールド調査を南アフリカ、ザンビア、中国で実施する計画をたて南アとザンビアで実施した。中国調査については現地機関からの受け入れが思うように得られず断念した。 本年度の調査は南アフリカにおいては中国系企業による都市地域開発の動向とその変化を2大都市圏(ヨハネスブルグ、ケープタウン)において調査し、卸小売商業の立地動向と土地利用の点から調査した。ザンビアにおいては経済特区の整備と企業の進出について調査した。中国系企業や中国人商人の進出は近年鎮静化しつつあり、一部では過当競争になっているとの見方もあり、進出や開発にとどまらず移転や撤退を含めたダイナミズムをとらえ政策的な課題を検討する意義を確認した。 また企業進出にともなう土地利用変化についての調査も実施しGISデータを収集、データ分析を行った。中国系商人が地域的に集中していると思われる地区での土地利用の変化を浮き彫りにする目的であったが、特定地区の以外においても同様の土地利用変化が見られ、ヨハネスブルグが急激な都市成長下にあり、土地利用の改変が広くみられることからすると土地利用データの使用方法には再検討が必要である。一方、いわゆるインナーシティとその隣接地区において空洞化が進んでいるが、このエリアのジェントリフィケーションのアクターとしての移民商業者や居住者の役割が一定程度見られた。アフリカ系移民と中国系を含むアジア系移民のインナーシティエリアでの生産活動について検討の意義が確認された。
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