研究実績の概要 |
本研究の最終年度にあたる平成29年度の主たる研究課題は、ここ数年新たに施行された居住施策が地区の住宅市場や住民構成に及ぼす影響を評価、解明し、大都市圏内におけるコミュニティレベルでの居住政策とその影響に関する地区間比較分析をさらに深めていくことであった。 この課題を遂行するために、引き続き現地研究協力者とも密接に連絡を取りながら、最新の資料や関連文献を収集し、分析を行った。あわせて、平成29年9月中旬より10日間にわたってドイツ連邦共和国に滞在し、同市オッテンゼン地区ほかにおける最新のジェントリフィケーションの動向と居住施策に関する資料を、ハンブルク市アルトナ行政区、同オッテンゼン市区公文書館等の関係機関にて収集するとともに、第二次年次までの現地調査にて協力を得たハンブルク市行政関係者のコーディネートにより、既成市街地縁辺部にあたる市内オッテンゼン市区(アルトナ行政区内)においてこれまで実施されてきた地区再開発事業地区、住宅新規建設事業地区でのインテンシィヴな現地調査を実施し、住宅ストックの更新状況や新規住民の転入による人口構成の変化、地元住民による自主的な居住環境改善の取り組み、当面する問題点などについて現場での質疑応答を重ねた。また、ハンブルク市借家人同盟、オッテンゼン市区住民団体ほかの関係団体を訪問し、ハンブルク市の住宅政策や地区再開発事業に関する評価に関する関係者へのインタビューや意見交換を行った。 こうした研究成果の一部は、「再都市化時代におけるドイツ住宅政策の可能性-公的介入の再編と挑戦-」(単独; 日本都市学会第64回大会, 平成29年10月28日, 石巻魚市場)として学会発表を行った。
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