研究課題/領域番号 |
15K03029
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研究機関 | 文部科学省科学技術・学術政策研究所 |
研究代表者 |
野澤 一博 文部科学省科学技術・学術政策研究所, 第3調査研究グループ, 上席研究官 (80637067)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 産業集積 / 組織間学習 / 産学官連携 / 知識経済 / 研究開発 / 技術開発 / 長野県 / 自由大学 |
研究実績の概要 |
本研究は、産業集積地における新技術開発などの新しい知識の創造を目的とした企業間および産学官の連携関係を組織間学習として捉え、産業集積地における組織間学習が成立する形成要因について明らかにすることを目的としている。本年度は、研究計画に従い以下3事項について調査研究を実施した。第1に、文献や統計資料をもとにフィールドである長野県飯田市と上田市の地域経済の状況について分析した。その結果、地元製造業の景気動向は決して良いとは言えないが、技術開発に意欲的な企業が比較的多く立地していることが明らかになった。第2に、地域における学習活動の把握として、飯田市と上田市において企業、行政、産業支援機関、郷土史研究家にヒアリングを行い、産学連携にとどまらず地域づくりから生涯学習までを含めた様々な学習活動の実態を把握した。両地域とも歴史的にみて地域学習活動の盛んな地域であるが、大正期の自由大学運動が現在の産学連携活動に引き継がれているのではなく、別の文脈で展開されているものであった。上田市のヒアリングにおいては、産業支援機関が企業を支援することにより企業と大学の連携活動が促進されていたが、企業間の連携活動が盛んでないことが明らかになった。そのため、調査対象地を上田市と飯田市の2地域ではなく、南信地域を調査対象地として南信地域の中で諏訪・岡谷地域、上伊那地域、下伊那地域の3地域における地域学習活動の比較分析を行うこととした。第3に、企業などへのヒアリング調査を踏まえ、アンケート調査票の設計を行った。調査が順調に進捗したため南信地域の製造業410社に対し郵送式アンケート調査を実施し177社から有効回答を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
長野県上田市と飯田市での企業および産業支援機関へのヒアリングを終了し、実態を踏まえた質問項目を洗い出すことができたため、アンケート調査票の設計を早々に終わらせることができた。そのため、平成28年度に予定していたアンケート調査の投函・回収・データの集計を完了させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、前年度に実施したアンケート調査結果をまとめた報告書を作成し、現地で関係者を対象に報告会を開催する予定である。 アンケート調査結果から得られた情報の深堀調査として、諏訪圏における企業間の共同研究コンソーシアム参加企業へのヒアリング調査を行うことにより、産業集積地における技術開発のための組織間関係の構築メカニズムについて分析する。 前年度ヒアリング調査をおこなった飯田市における様々な地域学習について分類を行い、学会発表等で発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に統計分析ソフトを購入する予定(10万円程度)であったが、実際に使用する次年度以降購入することとしたため94735円次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は現地調査および研究成果発表などへの支出が予定されている。
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