1860年代に本格的な産声をあげ、1920年代に自然解消していったシベリア地方主義について、その思想と運動の全体像を、ロシア語一次資料を中心的に用いて理解する視座を得た。ロシア各地で文献調査を行い、また北海道大学付属図書館では主に二次文献の資料収集を行い、本課題に関する基礎的文献の収集を完了した。特に地方主義の代表的な5名の著述家(スロフツォフ、シチャーポフ、ポターニン、シャシコフ、ヤードリンツェフ)の著作に見られるシベリア観・ロシア観を分析し、そこに通底している論理展開の特徴(シベリアを独自の地域とみなすにあたって利用できたり、失ったりした論理的資源の布置)を明らかにした。
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