本研究は社会主義中国が域内の辺境地域に住むウイグル人と朝鮮人、それにチワン(壮)人に対して行った政治的弾圧の実態を究明しようとするものである。具体的には1966年から発動された文化大革命期間中の歴史に注目し、少数民族地帯で何が起こり、どのような善後政策が導入され、民族政策に如何なる影響を与えたのか、といった課題を掲げている。調査研究の結果、新疆ウイグル自治区ではウイグル人とソ連との連動に警戒し、過去に発生したウイグル人の民族自決運動が再清算の対象とされた。朝鮮族自治州でも半島との歴史的関係と人的交流が疑われた。チワン族社会では漢民族による暴力が横行していた事実が解明された。
|