研究課題/領域番号 |
15K03039
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研究機関 | 甲子園大学 |
研究代表者 |
藤原 久仁子 (森田久仁子) 甲子園大学, 栄養学部, 准教授 (00464199)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | グローバル人材 / 異文化マネジメント / 人類学 / 宗教 / モノと人間 / 時間と場所 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は第一に、宗教人類学の事例研究で得られた知見をグローバル人材育成に向けた教育に応用する可能性を探ること、第二に、異文化マネジメントやキャリア教育分野に対する人類学の発信力を高めるための方法を探ること、にある。 平成29年度は、論文執筆に向け文献の整理を行い、①グローバル人材、特にグローバルリーダー育成に向けた人類学的知見の応用について検討を行った。また、②「モノの供養」と「モノの修理」に対する認識の文化的差異への着目から、まずは国内におけるモノの供養の事例研究として、和歌山県和歌山市加太にある淡嶋神社における人形供養祭について論文にまとめた(「人形供養と『福』贈り」鈴木七美編『超高齢社会のエイジフレンドリー・コミュニティ:ケアが照らし出すエイジング・イン・プレイスへ」pp.145-155)。そのなかで、環境への配慮から供養後の人形が焼却されず、海外に送られ/贈られ、「リサイクル」されることもあることを紹介し、時と場所を超えたシェアリング・エコノミーの形成について考察を行った。 モノを修理して長く使うように、人間も薬を飲んだり手術をしたりして長く生きようとする。それは普遍的な価値観であるように思われるが、日系の海外進出企業の社員管理でそれが徹底されているわけでも現地社員との間で共有されているわけでもない。モノづくりに対する責任感の欠如や離職率の高さや無断欠勤の問題は、生産するモノや自分の身体/モノに対する認識の違いも反映しており、従来の宗教人類学的な知見と調査から得られたこれらの視点を合わせ、グローバル人材育成に向けた教育内容としていかにまとめていくかが次年度の課題となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、これまでの調査データと文献の整理を行い、論点を見極め、考察を深めるという点では進展したが、海外の研究者とのネットワーク構築までには至らなかった。次年度はスペインで開催される国際学会(WOCMES)に参加し、研究発表するとともに、宗教人類学や経営人類学を専門とする研究者と交流し、シンポジウムの開催や今後の共同研究について話し合い、計画を進めていくことにしたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、①論文執筆や学会発表を通じた成果公開、②教科書の出版(商業出版)、③国際シンポジウムの開催、の3つを柱に進めていく。また、③のシンポジウムの開催と合わせて、イギリス及びマルタの企業とビジネススクールで調査を行う。Cross-Cultural Management in Workplaceの実際と、どうあるべきと会社で教育されているかと、スクールでのCase Studyにおける取り上げられ方について比較考察することにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は、当初予定していたイギリスのビジネススクールでの調査及び海外研究者とのネットワーク構築に着手することができなかった。このため、イギリスへの渡航費、滞在費が使用されず、残額が生じた。 イギリス及びマルタのビジネススクールにおいて調査研究するための渡航費、滞在費に使用する。また、国際シンポジウム開催に係る会場使用料、招待講演者の旅費、滞在費に使用する。これらの成果を論文にまとめ、英文構成費に使用する。
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