本研究は、現代インドの村落・都市中間地帯 (ラーバン) における親密圏の再編の様相を明らかにした。ラーバンでは、村落のように伝統的な規範にとらわれず、また都市のように核家族を基本単位とせずに、家族・親族関係や知人・友人関係また近隣関係を用いた、老人や寡婦そして乳幼児のための柔軟なケア関係が生み出されている。ラーバンにおける新たなケア関係は、人・モノ・カネ・情報が農村と都市の間を環流する移動社会を支える生活基盤として重要である。本研究では、特に女性の行為主体性に着目し、ラーバンの人びとが、モビリティの幅を広げつつ、必要なケア関係を確保するために、親密圏を創造的に再編する過程を描写・分析した。
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