研究課題/領域番号 |
15K03047
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研究機関 | 高崎経済大学 |
研究代表者 |
小牧 幸代 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (20303901)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | インド / イスラーム / 表象 / 展示 / 観光 / テーマパーク / ナショナリズム / 宗教 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、研究実施計画にしたがって、前年度までに収集した世界各地のテーマパークにおける「イスラーム風アトラクション」「宗教ナショナリズム的アトラクション」、そして「愛国アトラクション」等に関するデータの整理と分析を継続するとともに、インターネットや文献資料を通じて最新の関連情報を収集した。さらに、インドにおいて現地調査・資料収集をおこなった。具体的には、イスラーム表象の観光化について、マハーラーシュトラ州のコーポーリー、プネー、テランガーナ州のハイデラバード、首都ニューデリーの各地で、テーマパーク、ショッピングモール、ギフトショップなどを調査するとともに、ゲストやスタッフにインタビューをおこなった。他方、イスラーム表象の芸術化の事例に関しては、ハイデラバードにおいて、イスラーム・アートに従事するアーティスト5人および関係者5人にインタビューをおこなった。さらに、イスラーム・アートの現場として、ハイデラバードの高名なムスリム聖者の墓廟なども訪問することができた。 宗教政治の領域と商品経済の領域が重層的に交差する施設や芸術に関し、現代インドの状況と比較可能な類似の事例を収集する必要が生じたため、スペインとポルトガルにおいても、アミューズメントパークおよび世界遺産等の観光施設や芸術等において観察されるナショナリズムと宗教性に関する現地調査と資料収集をおこない、キリスト教表象とイスラーム表象の関係のあり方に、インドとは異なる形態での宗教間の非対称性を発見することができた。この調査報告は、テーマパークや宗教施設における文化的・宗教的な自己/他者表象のあり方の政治性をめぐる小論を通じて一般に公開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テーマパークにおける「イスラーム風アトラクション」、そしてその鏡像としての「宗教ナショナリズム的アトラクション」あるいは「愛国アトラクション」に関する調査研究はほぼ予定通りに進めることができた。「イスラーム的モダンアート」に関する基礎調査も予定通りに進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度も、引き続き、これまでに収集できたデータの整理・分析と最新の情報収集は国内で実施する。また、テーマパーク調査はインドと東南アジア、モダンアート調査はインドとパキスタンにおいて、それぞれ実施したい。現地調査の結果を、調査実施前までに解明できたことや前年度に実施した現地調査の結果などと比較し、地域や国による相違点・共通点を明らかにしていく。さらに、整理分析できたデータに基づき、国内の大学・研究機関で研究発表をおこなうほか、参考文献のさらなる収集と読解を通じて解釈枠組みの精緻化を図る。論文という形での研究成果の一般公開にも積極的に取り組みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、夏季休暇を利用した中期の現地調査と春季休暇中の短期の現地調査が、ほぼ予定通りに実施できたものの、1年目の平成27年度に発生した次年度使用額分が残る結果となった。
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次年度使用額の使用計画 |
夏季休暇を利用した中長期の現地調査の実現を目指すとともに、春季休暇中などに複数回の短期の現地調査を実施する計画である。
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