研究課題/領域番号 |
15K03047
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研究機関 | 高崎経済大学 |
研究代表者 |
小牧 幸代 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (20303901)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | インド / イスラーム / 表象 / 展示 / 観光 / テーマパーク / ナショナリズム / 宗教 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、研究実施計画にしたがって、前年度までに収集した世界各地のテーマパークにおける「イスラーム風アトラクション」「宗教ナショナリズム的アトラクション」「愛国アトラクション」等に関するデータの整理と分析を継続するとともに、インターネットや文献資料を通じて最新の関連情報を収集した。そして、これまでの研究成果の一部を「インドにおけるテーマパーク産業の発展と課題:アドラブズ・イマジカのアトラクションに関する人類学的考察」というタイトルで『産業研究(高崎経済大学地域科学研究所紀要)』第53巻に発表した。 他方で、三重県の「志摩スペイン村」などにおいて、日本のテーマパークにおける異文化表象のあり方に関する現地調査・資料収集をおこなった。日本のテーマパークは、Hendry, Joyが著書'The Orient Strikes Back: A Global View of Cultural Display'で指摘するように、「外国村」(Foreign country village)として外国の町並みや文化、さらに外国人が、可能なかぎり本物に近いかたちで展示されることが多いため、インドとは異なる意味合いでの非対称的な異文化表象の事例を収集することにつながった。この調査報告は、テーマパークや宗教施設における文化的・宗教的な自己/他者表象のあり方の政治性をめぐる小論を通じて一般に公開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テーマパークにおける「イスラーム風アトラクション」、そしてその鏡像としての「宗教ナショナリズム的アトラクション」あるいは「愛国アトラクション」に関する調査研究を、ほぼ予定通り進めることができた。その成果の一部は紀要論文にまとめ、一般に公開した。「イスラーム的モダンアート」に関する情報収集と事例分析も、ほぼ予定通りに進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度も、引き続き、これまでに収集できたデータの整理・分析と最新の情報収集は国内で実施する。また、テーマパーク調査はインドと日本をはじめとしたアジア諸国、モダンアート調査はインドとパキスタンで、それぞれ実施したい。その際、これまでの現地調査の結果をデータベース化し、国や地域の経済や産業の状況、文化や民族あるいは宗教による特徴や傾向なども考慮しつつ比較することで全体的な共通点と相違点を明らかにしていく。そのなかで、インドの事例の特殊性について検討する。こうして整理・分析できたデータに基づき、国内および海外の大学・研究機関で研究発表をおこなうほか、参考文献のさらなる収集と読解を通じて解釈枠組みの精緻化を図る。論文という形での研究成果発表だけでなく、ブックレットという形での研究成果の社会還元にも積極的に取り組みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は、データの整理とデータベース化作業、論文執筆、国内のテーマパーク調査が中心となったため、次年度使用額が発生した。平成30年度は、サバティカルのため、国内および海外での調査を複数回実施するとともに、国際学会での研究発表や、日本語だけでなく英語での論文の発表も予定しており、旅費や英文校閲のための謝金などにも使用する予定である。
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