研究課題
基盤研究(C)
本研究では、日本の10の都市祭礼を「競技化」の観点から研究した。競技化には、作品や踊りの出来映えを採点し評価する、採点競技化のタイプと、神輿や山車のぶつかり合いを、場所、時間、規則を定めて行うタイプがあることが明らかになった。一方で、喧嘩祭の異名を取りながらも競技化を志向しない祭礼も存在することから、すべての祭礼が競技化を志向するわけではない。しかし行政や警察との折り合いを付け、暴力に対する社会的批判を克服して祭礼を発展させるためには有効な方法であることが明らかになった。
民俗学
祭礼における事故や暴力を克服し、「競技化」していく過程を明らかにすることは、儀礼に見られる暴力的側面の学術的意義を明確にすることにつながる。また、現代社会において祭礼に対する批判を克服し、祭礼が存続し発展する上での指標となりうるものと考えられる。