研究課題/領域番号 |
15K03059
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
山内 健治 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (60254728)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 人類学 / 沖縄 / 地域振興 / 基地 / 聖地 |
研究実績の概要 |
本年度は,沖縄県本島の中部地域の基地周辺の共同体のコミュニティーの変遷を読谷村外に拡大して沖繩市・北谷町の4地点の聞き取り調査及び字誌のデータ収集を主たる研究目標として、6月・7月・8月・11月の各2週間のフィールドワークを実施した。年度開始の4月30日には、研究計画のと通り沖縄県琉球大学と協力し明治大学で占領期における沖縄市の旧村落構造についての共同シンポジウムを開催し情報交換を行った。これに基づき、祖国復帰後の沖縄市の古謝地区の自治会に関する世帯表調査を30事例を収集した。また、八月には北谷町教育委員会の協力を得て同地区の旧聖地の位置確認と撮影を実施した。また、基地接収による移転村の実態と移住した人々による戸主会の調査も実施し世帯・人口のデータ分析を行った。9月15日には、北谷町全区長並びに町長以下の町政執行部と共にキャンプ端慶覧内にある長老山参拝の会合に参加し旧字にあった聖地の合祀場所を撮影、参列者へのインタビュー調査も実施した。その後はその内容について研究発表会を南西諸島研究会で行った。現在、北谷町の学芸員とともに旧聖地の伝承について確認している。また、インタビュー調査のデータベース化を終了した。本年度取集したインタビュー資料・世帯表調査データ・聖地ほかの地理的資料・旧自治体及び移転後の共同体資料を総合的に検証し村落・集落・市町村の構造的分析を実施している。 研究成果の実績の一部は明治大学内及び沖繩側で実施したシンポジュウム・研究会で公表しているが明治大学内に島嶼文化研究所(明治大学・研究知財戦略機構・特定課題研究:代表・山内健治)を設立し、積極的に学内外の沖繩研究者と情報交換を実施しデータ分析をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画では2年度目の最後に沖繩側の研究者との合同シンポジュムを計画していたが、本年度の始まりの4月には開催し十分な情報交換が得られたことが本年度の共同体の実態調査においてより効果的な要素となった。また、沖繩市・北谷町の調査では、どう役場・教育委員会の全面的な協力が得られたため、予想以上の字の住民の聞き取り調査が可能となった。そのため、次年度では、分析・補充調査を実施するための計画日程の余裕が可能となっている。当初の計画では、10地点(字・公民館・自治体)の調査を計画していたが、すでに22地点の社会人類学的調査を終えている。また、本計画の最終の目標である基地返還地での都市計画の立案作業においても、各市町村の基地対策課・都市開発関係部との連携が確立された。すでに、読谷村では、二度にわたる成果報告会を実施した。北谷町の調査では、同地区の全区長会との連携を得た結果、ほぼ全ての旧字の自治体資料及び聖地に関する変遷を記述可能な資料の取集を終了した。次年度の沖繩市を対象とした研究においても沖繩市教育委員会との連携をはかり12月までには予備調査を終えた。研究計画は十二分に遂行したと考えれらる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画の最終年度に向けた作業手順として、これまでの研究成果に関する国際シンポジュムを開催予定している。 タイトルは「国際社会の中の沖繩ー」として国内外の沖繩研究の第一人者を招聘して会議を開催し今後の研究に残された課題を探る。また、これまでに構築された学内外の同様の課題をもつ研究機関と連携してより学際的な課題を設定して補足調査とともに、データを解析する。また、書籍の刊行により社会的な発信を行う。 調査資料に関しては読谷村・北谷町については市町村関係各機関と十分な調整がついているので、これまでのデーターを整理し各機関に確認を依頼する。比較調査地としての沖繩市には教育委員会と連携して補足調査を実施する。研究の最終年度としてデータをまとめ分析したのち、最終の報告会を沖繩の公的機関・大学で行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画において購入予定であった各市町村の歴史編纂資料が多くの文献に関して研究目的の寄贈を受けたために資料費用が一部残った。また、消耗品費としてのDVDが購入不要となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度に新たに必要な市町村史が発生した場合の購入費用とする。
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